アプリ開発にあたって,やはり先行しているアプリの調査をすることは定石ですね。一利用者としても時刻表関連のアプリにどんなものがあるのかは興味津々です。
しかし,意外なことに時刻表アプリの数は多くありません。
iPhoneアプリとして時刻表を扱うのは,「駅探エクスプレス」と「BusStop」と「駅.Locky」。あと2つ3つのアプリが特定地域や路線のバス・地下鉄時刻表を扱うくらいです。iPhone以外だと「NextTrain」というソフトが老舗のようです。
駅探エクスプレスは,iPhone 3Gと同時期に(無料版が)登場したアプリです。私も有料版を購入して利用させてもらっています。もともと乗り換え案内ソフトなので,時刻表機能は脇を固める機能として備わっている感じですが,もっとも典型的な時刻表の実装例として見ることもできます。基本的にオンラインの駅探サービスを利用して動作しています。
BusStopは,アプリ名の通りバス時刻表を入力するアプリとして使えますが,NextTrainという老舗ソフトのデータ形式と互換性を持たせているため,汎用な時刻表ツールです。根強いNextTrain利用者にとって,データ形式に互換性がある点とパソコンとの連携でデータ入力や保存ができる点が受けているようです。
iPhoneアプリではありませんが,NextTrainは,電子手帳,PDAなどが主流の時代に登場したアプリで,NextTrain形式と呼ばれる時刻表データの書き方ルールをつくったアプリとして有名となっています。現在もPDA,携帯アプリ,パソコンアプリなどに移植されたソフトが活躍しているようです。iPhone用のNextTrainはありませんが,BusStopがその役目を担っていたという流れになっています。
駅.Lockyは,2009年10月に登場した新しい時刻表アプリです。もっとも,このアプリには何年も続く大学の研究活動の一成果という側面があり,街中にある無線LANを活用する研究と深い繋がりがあります。駅の近くにある街頭無線LANを識別して,最寄り駅の時刻表を自動的に表示するというとても便利な機能を提供しているのです。さらに独自に時刻表のデータベースを用意して,利用者が協力しながら全国の時刻表を作成・共有することで,他の利用者が時刻表をダウンロードできます。
その他の時刻表アプリも予めアプリ内に時刻表を用意してあるものや,交通機関の運営会社のサイトから情報を引っ張ってくるものなどがあります。ちなみにApp Storeで「時刻表」と検索すると,台湾の鉄道関係のアプリも出てきます。
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iPhone上で時刻表をどう見せるのか。それぞれのアプリがそれぞれの工夫をしています。
Appleのヒューマン・インターフェイス・ガイドラインという手引きに従い,テーブルビューという一覧形式の表示方法を使って時刻表を単純素朴に表示しようとすると駅探エクスプレスに似てきます。BusStopと駅.Lockyは残り時間をメインとしてそれぞれのレイアウトでアプローチしています。また駅の時刻表のような表示形式もフォローしているようです。
時刻表表示だけでなく,時刻入力はもっとも悩ましいが重要な部分です。
駅探エクスプレスは,ネット上の駅探サイトの情報を使って時刻データを提供しています。コンテンツを提供している立場にあるのは有利です。BusStopは,NextTrainのデータ形式と互換性をとり,パソコンからデータを転送できるようにしています。またアプリ自身でも分ボタンをタップして入力できるようになっています。駅.LockyもNextTrainのデータ形式を採用しています。ただし,こちらはネット上に共有場所をつくり,利用者が作成したNextTrain形式の時刻表データをアップロードすることで,他の利用者がiPhoneのアプリからダウンロードできるという仕組みです。アプリ内で入力・編集する機能はありません。
時刻表データに関しては別に詳しく書きたいと思いますが,やはり時刻表の入力作成の手間をどうするのかは大きな問題です。それぞれのアプリの実現方法は,それぞれにメリットとデメリットがあります。
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ROTでは,それぞれのアプリの良いところを参考にさせていただきながら,開発動機だった問題を解決することを中心としたアプリのデザインとしました。
2つの時刻表を1つにまとめて表示できること。待ち時間にアプリを使って時刻表入力できること。
これらを中心として,汎用性や利便性を考慮しながら機能を選択して設計しました。もちろん細かい要望で実現し切れていない点は多く残っていますが,先行する時刻表アプリの良い点を継承しながら,新しい選択肢を提供できているのではないかなと思っています。
あとは,リリース後に各方面の反応を見ながら改善していこうと思っています。
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